相手の顔を立てる
この言葉を聞いたことがあると思うんです
多分、日本固有の文化なんだと思うんですね
だって
欧米の交渉ではこんな悠長なことを言ってたら
勝負の潮目が変わっちまいますもんね
でも・・・
確かに
優位に交渉を進めているときというのは
相手は、一方的に譲歩させられていると
感じているもんですから
正規に交渉が成立したとしても
相手は恨みに思ったりするというのも
分からないことではないですよね
相手の顔を立てるようにしておくというのは
後々のことを考えたら
大切なことなのかもしれません
考えてみますと・・・
こんな風に思えるようになったのは
かなり歳を取ってからの話でしてね
若い頃は
交渉ごとで負けるのが大嫌いでしたから
こちらの使える手は少々リスクがあったとしても
あの手この手と繰り出しましてね
相手を具の根も出ないところまで追い込み
逆に譲歩を引き出すようなことをしていたんです
そうですね
こんなことがありました
昔、ある大学から
市場調査を請け負いまして
全国のいろんな業種の企業に直接訪問して
ヒヤリングをして歩くようなことをしたんですが
これが
結構、手間でしてね
約半年間というもの
この仕事に掛かりっきりで戦っていたわけです
そんなとき
急に大学の購買部から携帯に電話が入りまして
「今回の契約に関して定型の書類があるので
今日これから取りに来て下さい
それが出来ないのなら費用は支払いません」
と言われたわけです
そのとき
私は広島にいましてね
その大学は神奈川にあったんです
相手の課長さんに、その事情を説明しても
頑として譲らないんですね
カチンと来ましてね
「分かった、だったら、金は要らん
この仕事は大学にとって大切な仕事だから
俺は、責任を持って最後までやる」
と言って電話を切ったわけです
まぁ〜
ご想像の通り
このことが、大学の中で大騒ぎになりましてね
後日
丁寧なお詫びの言葉が添えられた書類が
書留で送られて来ましてね
その戦いは完勝で終わったわけです
もう、細かいことは忘れちゃいましたけど
いまでも無茶なことをしたなって思っています
だってね
相手が横綱相撲を取ってくれたから
ことなきを得たわけですが
ガチンコで喧嘩を吹っ掛けられていたらと思うと
怖い話ですよね
改めて
「相手の顔を立てる」という言葉の大切さを
思うわけです